製造物責任」記事に頂いたコメントについて

命題の検証

当店の記憶に頼った記述でしたが、

スライムパンク防止剤がバルブ腐食を起こすという科学的な根拠を示せ。
サイクルベースあさひは被告で、腐食を言い立てる当店が原告だから、挙証責任は当店にある。


とのご指摘を頂きました。

論争の趣旨の扱いでのコメントの通り、一度はこのこの命題がすべてと認めて頂いたので、この記述で検証します。

検証すべき点は以下の4点です。

  1. サイクルベースあさひは被告で、腐食を言い立てる当店が原告
  2. 挙証責任
  3. スライムパンク防止剤がバルブ腐食を起こす
  4. 科学的な根拠を示せ。

命題をくださった、「知恵袋・・・」さんはバルブの腐食を、どのように理解されていたのでしょうか。

機会があれば、「知恵袋・・・」さんの理解を確かめてみたいです。

民法上の原告?

被告、原告」の表現を科学的な根拠を示さなければならない理由として挙げられていますが、現実に裁判を起こしているわけでは有りませんので、比喩的なものなのか、何らかの仮定によるものだと考えられます。
どのような仮定条件を設けられたのか、何の比喩として用いられたのかが明示されていない、問題がまずあります。
当店としては、サイクルベースあさひさんの「スライムパンク防止剤の存在下で、バルブが腐食されること」についての説明不足を、不条理だと批判している立場ですから、批判者とか告発者の立ち位置に置かれることは理解できます。
何故、わざわざ、民法を持ち出して、原告、被告の表現に拘られたのでしょう。
思い至ったのが、「証明責任の転嫁?」です。

挙証責任

「挙証責任」という言葉で腐食の科学的根拠を求めておられます。
当店の活動の拠り所は、当店が実際に経験した事実です。
事実が真実であるかどうか、科学的根拠が必要かどうかは、後ほど検証しますが、「証明責任の転嫁?」の有無に関わらず、スライムパンク防止剤がバルブコアを腐食することの何らかの証明は当店の責任で行ったほうが良いのかもしれません。

スライムパンク防止剤がバルブコアを腐食する

サイクルベースあさひさんは、スライムによるバルブ腐食を認めたのかで明らかなようにサイクルベースあさひさん自身がスライムパンク防止剤がバルブコアを腐食することを認めておられます。
サイクルベースあさひさんとの争点にはならないので、ことさらの証明は不要ですが、立証を認めようとされない「知恵袋・・・」さんのために、「事実的因果関係と相当因果関係によるバルブ腐食の証明」も致しました。

「腐食を否定されているのか?」と改めてコメントを見直してみましたが、否定のコメントは頂いておりませんでした。
腐食することは、ご存じで有りながら、因果関係の立証を求められていたのかもしれません。

科学的な根拠を示せ

当店を原告と表現された根拠が不明ですし、仮定としても何の説明もありませんので、理由の分からない要求について検証する必要はないのですが、科学的な根拠を示せも無理な要求です。

もう一つ書くならば、【無いこと】を立証することは事実上不可能です。
だから腐食が起こらないとは証明できませんので、あさひはそう書いただけだと捉えるのが一般的な考え方ですよ。
(2)知恵袋で回答させていただいた者です | 2018年9月25日 (火) 14時00分

とご自身で言われている通り、「無いことの立証」はほぼ不可能ですが、科学的な証明の条件として、

スライム無しでバルブの腐食が自然発生する可能性についての検討、スライム入りだとそれがどう変わるのかの検討、ほかに関わる要素があるのかないのか、ほかに関わる要素があるとしたらどのように考慮したのか、ほかに関わる要素がないとしたらないと言い切れる理由などを述べないと訴訟に耐えきれるような因果関係にはなりません。

科学的立証についてもそうです。
あなたが示したのは、単に化学反応についての教科書レベルの話をしただけで、何の立証もしていないですよね。
どのような実験を行ったのか、その実験自体の信頼性はどれくらいあるのか、ほかの要素に左右されるのか、サンプル数はどれくらいで実験したのかなどそういう過程を経て立証ですよね。
単に化学反応を教科書から引っ張ってきて立証だなんて言われても、誰も信用しませんよ。
(168)知恵袋で回答させていただいた者です | 2018年9月21日 (金) 13時44分

ほかに関わる要素がないとしたらないと言い切れる理由」と、ほぼ不可能な「疑似相関関係が無いことの証明」を望んでおられます。
ご自身が、不可能だと認識されている科学的な証明を当店に求められる意図は何でしょうか?
ほぼ証明不能な立証を求められているので、この点からも命題としては不適切です。

「科学的な根拠を示せ」は不当な要望だった。

無いことの証明

因果関係の証明(自然科学)と立証(法学)」に因果関係認定の4要素というサイトの要約を記載しています。

非擬似相関性とは、2で証明された相関性は、別の要因によって連動して生じているわけでは無い、ということである(C→A・B)。
しかし、この非擬似相関性の立証はものすごい大変で、100%の立証はほぼ不可能である。
見ての通り、非擬似相関性の立証は、擬似相関では「無い」ことの証明である。
無いことの証明は所謂「悪魔の証明」であって、我々の持つ「論理」という思考方法では立証不可能である。
というわけで、「因果関係がある」ことの証明は厳密には非常に困難である。

「知恵袋・・・」さんもご存じの通り、「無いことの証明」は事実上不可能だそうです。
「科学的な根拠を示せ」の要望には不可能な証明が含まれています。

高度な蓋然性

東京地裁平成24年1月30日判決を読んで頂ければ明らかなように、民法においても、製造物責任(PL)法のように、欠陥と損害の因果関係について詳細な立証を求めない特則も有ります。

「科学的な根拠」を求める理由を、当店を原告と置き換えることで正当化しようとされたようですが、

民法においても、高度な科学的証明が求められていないことは、
「因果関係の証明(自然科学)と立証(法学)」の【民法判例】東大病院ルンバール事件(因果関係の立証) (昭和50年10月24日最高裁)
に記載した通りです。
製品の欠陥を指摘する場合、法律においてすら科学的な根拠を原告に求めていないとの視点はあなたにはありませんか?

要望の根拠

仮定や、比喩であっても、民法のどの条文によって、挙証責任を求めるのか、明示する必要がありますが、それもなされていません。
議論の中で、明示されれば、先に進む価値は出てくると思いますが、根拠となる民法の通り、明示して頂くことは有りませんでした。
結局、命題で頂いた、WEBサイトやブログの記述に「科学的な根拠を示せ」と求められた根拠は、明らかになりませんでした。

「サイクルベースあさひは被告で、腐食を言い立てる当店が原告だから、挙証責任は当店にある。」も、民法のどの部分に該当するのかは、漠然として明らかではありません。

勝つために必須

原告、被告で指摘させて頂いた通り、科学的証明を求められた根拠は法的には明らかにして頂けませんでした。
変わって提示されたのがこんな理由です。

製造物責任(PL)法の趣旨のコメントのように科学的証明を求められたのは、裁判で勝つためとのことのようです。

もしPL法だとしても、その程度の因果関係を主張するだけなら勝てないです。
(168)知恵袋で回答させていただいた者です | 2018年9月21日 (金) 20時00分

裁判で勝つために、科学的立証が必須条件ということですか?
命題で頂いた「挙証責任」と意味が違っていますが、法的な根拠のない貴方の空想から生じた要望として科学的な根拠を求められているのでしょうか?

上記の検証の通り、無理難題を承知で、明示できる根拠もなく、社会通念上も無理(法的にも求められていない)で、主張の根拠すら揺らぐ、命題で求められた民法に基づく「科学的な根拠」は不当な要望だったと理解しました。

ついでに

損害を受けている訳では有りませんから、提訴など考えておりませんが、裁判外で欠陥を争点とする場合、製造物責任(PL)法以外に、規範とすべきものは有るのでしょうか?

「知恵袋・・・」さんは立証についても、独自のお考えをお持ちのようです。
それについては、こちらで指摘をさせて頂きます。

ついでに書かせて頂きますが、教科書レベルで説明できるバルブの腐食について、実験での証明を求められる貴方の立証についての考え方も理解できません。
教科書レベルでは説明できない事象に対して、実験での証明が必要というならまだ分かりますが、水素が燃焼したら水蒸気(水)なることにでも、実験結果を求められる方なのですか?

これは、命題と捉える意味もないのですが、貴方にとっては問題追及の方法の是正を求めるという意図もあったようですね。
何故、議論に値する具体性のない問題追及という言葉を使われたのでしょうか?
貴方にとって具体性が有ったとしても、当店としては記憶に残っていない指摘です。

コメントの検証作業で、ようやく「問題追及=メールの公開」らしいと思い至りました。
「知恵袋・・・」さんやroadbikenaviさんに関りがないと思われる、サイクルベースあさひさんのメールに、何故関わられるのかとの疑問は出てきますが、何故端的に「メール公開の根拠としている免責の四要件への疑問」と表現されなかったのでしょうか?

因果関係の立証に対する反証も併せてお読みください