パンクを考える
*シティ車、クロスバイクについて書いています、ロードなどスポーツ車は常用空気圧が異なるので適用外です。
空気を貯める
タイヤの中には、チューブと呼ぶ、空気を貯める部品が有ります。
チューブにはバルブという空気の入り口が有り、バルブは入った空気を逃がさない構造になっています。
タイヤはリムに嵌められていて、チューブは、リムテープか、リムバンドを介して、リムやニップルと接しています。
空気を貯めるのはチューブですが、チューブが膨らみすぎないように形を保つ役目はタイヤがしています。
ゴム膜には空気透過性があり、チューブに貯められた空気は、少しづつですが減っていきます。
こんな確認をしてみました。 チューブ空気圧変化 確認結果
パンクとは
何らかの原因で、チューブに入った空気が漏れて、溜まらない状態をいいます。
当店の定義では、チューブに異常があるものがパンクで、バルブの虫ゴム不良による空気漏れはパンクとは呼ばないので、お客様や世の中の定義とはちょっと異なります。
ここでは、パンクではない空気漏れも扱っています。
パンクの原因と種類
原因 |
パンクの種類 |
空気圧不足 |
揉まれパンク |
折り目パンク |
リム打ち(蛇噛みパンク、スネークバイト、ピンチフラット、リムピンチ、リムカット) |
バルブ根元パンク(バルブパンク) |
外部要因 |
異物刺さり(蚊刺しパンク、貫通パンク) |
リム噛み(破裂パンク、バースト、ブローアウト、ブローオフ) |
作業ミス |
リムバンドずれによるニップルパンク |
タイヤ内異物 |
ダブルウォールリムでは、バルブ固定ナットの締めすぎでバルブ根元パンクが起きることが有ります。 |
パッチの貼り付けミスやチューブの削りすぎなどの修理ミス |
いたずら |
パッチ裏チューブ割れ |
製造時のチューブピンホール |
製造特性 |
チューブ接合部の強度不足 |
部品の劣化 |
タイヤ劣化によるバースト(破裂パンク、バースト、ブローアウト、ブローオフ) |
リムバンド切れによるニップルパンク |
パンクではない空気漏れ |
虫ゴム切れ |
トップナットの緩み |
パンク防止剤によるバルブコア腐食 |
- 空気圧不足が原因で起きるパンク
- 揉まれパンク
(抉れパンク)
空気圧が少ないと、タイヤの変形が大きくなります。タイヤが潰れる時に、中のチューブも潰され折れますが、そのあたりが関係しているのではと思っています。
自分の中では、はっきりとメカニズムは解析できていません。
チューブの全周に抉れたような溝が出来、修理をしても、すぐに再発することが有り、修理屋泣かせのパンクです。 - 折り目パンク
タイヤは、リムに嵌められていますが、リムには空気圧で押し付けられることで固定されています。
空気が少ないと、固定する力も減り、大きな輪の中を小さな輪が転がることで、輪の周長分づつずれようとします。
これに、ブレーキを掛けた時の戻りや、漕ぎによるずれも加わりタイヤはチューブを伴って進行方向とは逆に動きます。
チューブはバルブで、リムと固定されているので、バルブの根元にチューブが余って畳まれます。
山や、谷がチューブやタイヤと擦れることで、摩耗するのが折り目パンクです。
- リム打ち(蛇噛みパンク、スネークバイト、ピンチフラット、リムピンチ、リムカット)
段差や穴の縁等に自転車が強く当たると、角や縁でタイヤ、チューブが押しつぶされ、タイヤは強度が有るので穴は開きませんが強度のあまりないチューブには2個の穴が並んで空きます。
空気がしっかり入っていれば、タイヤ、チューブは押しつぶされる難くく、穴は開き難くなります。
速度が速いと、衝撃も大きくなりますので、穴が開きやすくなります。
荷重が大きいと、衝撃も大きくなりますので、穴が開きやすくなります。
- バルブ根元パンク(バルブパンク)
原因は、折り目パンクと同様のタイヤ・チューブの移動によるもので、バルブで固定されたチューブへのストレスです。
バルブとチューブの接着面が剥がれたり、バルブ根元近くのチューブに亀裂が起きたりします。
まれにですが、バルブベースがチューブから剥がれるものも見ることが有ります。
- ニップル頭引きずりパンク
リムバンドにズレはなく、チューブのニップルに当たる部分が伸びて膨らみ、薄くなった頂点に穴が開ます。
まだデータは少ないですが、HE系のホイール(特に小径)では同様のパンクが起きやすい気がします。
これも、原因は空気圧不足かなと思っていますが、HE系に多発の理由はHE系の方が、タイヤとリムの余裕が大きく、空気圧がそれなりに高くても、タイヤが動きやすいのでしょうか?
*タイヤやチューブのリムに対してのずれについては、かなり確信を持った仮説を含んでいます。
- 外部要因で起きるパンク
- 異物刺さり(蚊刺しパンク)
道路に落ちている突起を持つ異物や、細い針金などがタイヤに刺さり、タイヤを貫通して、チューブに穴を開けるパンク。
後が良くパンクする理由
雨の日はパンクが多いと言われ理由
舗装の行き届いた日本の道路では、異物によるパンクの発生頻度は少ない。
*異物パンクコレクレションを参照
- リム噛み
チューブがタイヤの中にちゃんとセットされず、はみ出してタイヤとリムの間に挟まれているとはみ出した部分が限界以上に膨らみ破裂する。
チューブ交換の直後に発生することも有れば、タイヤとチューブの嵌め合いの硬さによっては時間が経過して発生することも有る。
作業ミスで起きるパンクなので、リムラインのチェック、タイヤ内へのチューブのセットなどをしっかり確認すれば、防げるパンク。
タイヤセットの詳細はこちら
- タイヤのエッジ掛かり不良
シティ車のWOタイヤでは起きにくいのですが、クロスバイクや小径車などに使われるHEタイヤは、 図のようにリムのエッヂにタイヤのビードが掛かります。
ビードがエッヂに掛からず、リムの下部に落ちていると、他の部分のビードがエッヂから外れ、チューブが飛び出してバーストすることが有ります。
上記のリム噛みと同様にタイヤ、チューブのセットをしっかり確認すれば防げるパンクです。
- ニップルパンク
リムバンドずれやリムバンド切れでニップルの頭が露出しチューブを傷つける事による パンク。
別な原因として、ゴムとニップルが直接触れることによる、銅害[腐食と劣化(6)6ページ参照]による劣化も考慮すべきと考えています。 - ニップル穴パンク
ダブルウォールリム特有のパンクなのでシティ車に使われるシングルウォールリムでは発生しません。
リムバンドが高圧に耐えられない材質だったり、ニップル穴からずれていると、チューブがニップル穴の部分で異常に膨らんで、割れて起きるパンクです。
- タイヤ内異物
折れたタイヤレバーやバルブのトップナットなど、修理や組立の作業ミスで入ったままになっていたリ、ニップル飛びしたニップルの頭が残ったり、屋外で修理していると、水調べしたチューブに砂粒などが付着して入り込むことが有ります。
- ダブルウォールリムでは、バルブ固定ナットの締めすぎでバルブ根元パンクが起きることが有ります。
- パッチの貼り付けミスやチューブの削りすぎなどの修理ミス
- パッチ下のチューブ割れ
パッチの接着不良が原因かもしれないパンクです。
ゴムのりをバルカーンに変えた後目にすることが少なくなりました。
- いたずら
- 製造法の特性で起きるパンク
- 製造時のチューブピンホール
- 異物練り込み
内側から外に向かって穴が拡がっています。
チューブのゴムに練り込まれた異物がゴム膜を破壊しながら飛び出したか、気泡が有ったものと考えられます。
- チューブ接合部の強度不足
チューブの輪の縦方向に割れが起きています。
- 部品の劣化で起きるパンク
- タイヤ劣化によるバースト(破裂パンク、バースト、ブローアウト、ブローオフ)
- リムバンド切れによるニップルパンク
- パンクではない空気漏れ
- 虫ゴム切れ
- トップナットの緩み
- パンク防止剤によるバルブコア腐食
*いろいろパンクの事を書きましたが、これで書ききれているかどうかまだわかりません。
タイヤに覆われた中で発生しているので、チューブがどのような挙動をしているのか想像をするしかないからです。
折り目パンクで山折りのパンクはタイヤとの作用だろうと思いますが、谷折れのパンクも有ります。これなどは、チューブに何が作用して穴が開くのか、仮説すら立っていません。
パンク発生頻度
自転車のパンクで思い浮かべられるのは、刺さり物や、いたずら(器物損壊)かもしれませんが、実は原因の半分近くは空気圧不足です。
異物が刺さってのパンクは一割以下です。
しっかり空気を入れる習慣と、定期的な虫ゴム交換をしてくだされば、パンク防止剤や、パンクしにくいタイヤに頼らなくても空気漏れの半分以上は防げます。
*ブリヂストンサイクルの調査結果(https://www.bscycle.co.jp/cycletire/ 〉では空気圧不足が原因のパンクが74%。(虫ゴム破損が含まれていないのかも?)
*寿サイクルさんのパンクレポート(http://www.interq.or.jp/jupiter/ktbk37/PANC.HTM)では、空気圧不足が原因のパンクが35%近いです。(擦れ穴、段差リム打ち、バルブ根元破損の合計)
*隅除輪業さんのパンク原因別割合https://www.instagram.com/p/CQXR2N8BSqt/では、空気圧不足が原因のパンクが33%です。
*健康じてんしゃ店さんのなぜ自転車はパンクする? では、空気圧不足が原因のパンクが51.4%です。
当店調査の他のグラフはこちらにあります。
グラフの元データはこちらにあります。
パンクと天候
雨の日はパンクしやすいといわれますが、次のような理由が考えられます。
- 雨水に濡れることにより、タイヤのゴムと異物の摩擦が減り刺さりやすくなったり、刺さった異物が深く入り込んでチューブに到達しやすくなる。
- 雨で異物が道路の端に流れ寄せられ、異物の量が増える。
前輪後輪の差
自転車の前輪と後輪を比べると、圧倒的に後輪のパンクが多いです。
- 前輪と後輪では、後輪に体重の2/3位体重が掛かります。
- タイヤの変形が大きくなるため、チューブの揉まれによる、痛みが前輪より激しくなる。
- 路面との摩擦力が強くなり、タイヤがリムを滑る移動量が増えます。
- 路面の異物は寝ているものが多く、前輪には刺さりにくいですが、タイヤの摩擦などで、起き上がったり跳ね飛ばされて立ち上がり、後輪に刺さりやすくなります。
パンク対策
- 空気圧不足が原因で起きるパンク
- 最低でも一回/月の空気入れの励行
- 自転車のそばに空気入れを置く
- 空気を入れる日を決める
- 空気の入れやすい空気入れを選ぶ
- エアーハブ
- ノーパンクタイヤ
- チューブレス化(まだ現実的では有りません)
- タルク粉(タイヤパウダー)による、タイヤとチューブの張り付き防止については、効果ははっきりとは確認できていません。
- 異物パンク
- 耐パンクタイヤ
- 高密度ケーシングや、耐パンクベルトを内蔵した異物の侵入を防ぐタイヤ
- トレッド(路面と接するタイヤの部位)を厚くし、異物がチューブに届かないようにしたタイヤ、パンクしにくいタイヤと称されることが多い。
- 耐パンクベルト
- パンク防止剤
- ノーパンクタイヤ
- 部品性能劣化パンク
- いたずら
- 修理ミス
参考にしたサイトなど
自転車探検 パンク