2019年1月14日 (月)

事実的因果関係と相当因果関係

自然科学的証明ではありませんが

事実的因果関係と相当因果関係→Q5というサイトを見つけました。

因果関係の証明は,以下のように,2段階でなされるのが普通です。 第1段階は,事実的因果関係です。これは,「あれなければこれなし」という法理に基づいています。 第2段階は,事実的因果関係は,広がりすぎることがあるため,それを制限する法理であり,法的因果関係とか,相当因果関係とか呼ばれています。

■相当因果関係は,不法行為だけでなく,債務不履行の場合にも使われるため,条文上は,債権総論の民法416条で規定されています。 事実的因果関係は,「あれあれば,これあり」という因果関係の証明が困難なため,その裏命題,または,逆命題である,「あれなければ,これなし」という考え方を採用するものです。 ラテン語では,これを「シネ・クア・ノン」と呼んでいます。

論理学的には,(AならばB)といいう命題を証明するために,(ノットAならばノットB)を利用するのですから,正確な論理ではないのですが,原因が一つであることがわかっている場合には,論理的にも正しく,かつ,有用です。

■ 具体例で有用性を説明することにしましょう。

たとえば,先天性奇形症の子が生まれたが,その原因が,サリドマイド剤の服用によるものかどうか,証明が困難であったという実例です。

しかし,サリドマイド剤が販売禁止になってからは,この先天的奇形症の子は,一人も生まれていないということが判明しました。

この事件に,「あれなければ,これなし」の法理を利用して,「サリドマイド剤が使われなくなったら(すなわち,「あれなければ」),この先天的奇形症の子は生まれていない(すなわち,「これなし」)」ということが明らかになりました。 したがって,「サリドマイド剤の服用と,先天性奇形症の子の出産との間には,事実的因果関係がある。」ということが証明できたのです。

■その結果,因果関係を争っていた製薬会社と,被害者との間で,和解が成立しました

■第2段階は,法的因果関係としての相当因果関係による事実的因果関係のチェックです 。

「あれなければ,これなし」は論理学的には,正確な因果関係の証明ではないため,これによると,因果関係が広がりすぎる恐れがあります。そこで, 「原因事象が,結果事象に対して,その確率を高めたか?」という観点から,事実的因果関係をチェックするのが,相当因果関係の役割です。 具体例で考えて見ましょう。相当因果関係の理論を発展させた,ドイツの刑法の教科書で紹介されている,代表的な例です。 ある夫婦の子が,何人もの人を殺害したとします。この場合,「夫婦がその子を出産したことと,その子が犯した殺人との間に因果関係があるか?」という問題です。

■たしかに,「あれなければ,これなし」の法理を使うと,その夫婦がその子供を生まなければ,その子による殺人事件は発生しなかったのですから,事実的な因果関係はあります。

■しかし,法的な因果関係である相当因果関係の考え方,すなわち,「原因事象が,結果事象に対して,その確率を高めたか?」という法理を用いると,結果は異なります。

■なぜなら,夫婦が子を出産することが,殺人事件の発生の一般的な確率を高めることはないからです。

■事実的因果関係と,相当因果関係との違いは,この問題を理解することから始まるといわれています。

■皆さんは,理解ができましたでしょうか?

■つぎの事例も有名な事例です。

■馬車が普通に使われていた時代の話です。 馭者が道を間違えて,左折したところ,落雷に遭い,乗客が死亡したとします。

■「馭者の過失と乗客の死亡との間に因果関係があるか?」 というのが,ここでの問題です。

■この問題も,「あれなければ,これなし」の法理だと,因果関係が肯定されます。

■しかし,「原因事象が,結果事象に対して,その確率を高めたか?」という相当因果関係の考え方によると,答えは異なり,御者が左折したことと,落雷による事故の発生には,相当因果関係はないということになります。

■その理由は,御者が左折しても,右折しても,ランダムに生じる落雷の確率は,同じだからです。 このように,相当因果関係は,一般的には,「あれなければ,これなし」という,事実的因果関係の範囲を狭める作用があります

投稿: 知恵袋で回答させていただいた者です | 2018年9月20日 (木) 23時19分のコメントで

>因果関係の立証でよろしければ、 
「スライムパンク防止剤の入っていないチューブでは、バルブの腐食は発生していない。」
でよろしいでしょか?

これではスライムが腐食を誘発する説明にはなっていないのはお分かりになりますでしょうか?
因果関係にも触れていませんし、立証というには程遠いです。

と因果関係の証明になっていないと書かれていますが、こちらのサイトの証明法に従えば、因果関係の証明になりえますか?

【2019.01.16追記】
スライムパンク防止剤以外にも、グリセロールを含むスライム同様の組成を持ったパンク防止剤が存在します。

スライムパンク防止剤が入っていなくても、同様の組成のパンク防止剤が入っているなら、バルブコアの腐食は発生しますので、スライムパンク防止剤の文言を変更しようかと思いましたがやめました。

相当因果関係の考え方からすれば、知恵袋で回答させていただいた者です さんに提示した因果関係で良さそうです。

【2019.01.17追記】
言いたいことは同じなのですが、他のバルブ腐食の要素を除くには、

「バルブの腐食が発生していないチューブには、スライムパンク防止剤が入っていない」

の方が適切なので、訂正します。

こちらで評価してください。

2019.05.14追記】
腐食は化学反応ですから、腐蝕の進行には時間経過が必要なことは自明なのですが、時間経過についても追加します。

 事実的因果関係としては 、
「2年以上使い続けた自転車のバルブの腐食が発生していないチューブには、スライムパンク防止剤が入っていない」
とさせていただきます。
【2019.05.15追記】
事実的因果関係として述べたことは、スライムパンク防止剤が入っていない、ごく普通に使われている自転車の状態です。

証拠は、ここには提示しません。
もしあなたが、パンク防止剤のシールが貼られていない自転車をお持ちなら、ご自分で虫ゴムを交換してみてください。
下の画像の右から2番目のような腐食していないきれいなバルブコアを見て頂けます。
それが事実的因果関係で述べた内容の証拠です。
【ここまで】

 相当因果関係としては、
自転車のバルブは、真鍮(5円玉と同等の材質)で作られており、通常の使用では腐食することはない。
スライムパンク防止剤は水分や、有機物を含んでおり、自転車のバルブを腐食する可能性は高まる。
実際に、このように腐食したバルブが存在する。
画像はhttp://kamikawa-cycle.com/blog/5517から借用

で認めて頂けますか?
【ここまで】

【2019.01.22追記】

民法416条を読んでも、相当因果関係について書かれているとは思えませんでした。
不法行為法における相当因果関係論の帰趨」という論説を読んで、少し理解できました。

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